またも久しぶりのブログになってしまいました。
この夏も、常任委員会で様々な視察を行わせていただきました。全ては書ききれませんが、印象に残った2カ所の視察についてご報告します。
今年度は産業労働委員会に所属しています。産業支援(最近だとロボット、社会課題解決型ベンチャー、企業誘致など)や中小企業支援(物価高対策、融資、労働環境整備、事業継承など)が主な内容です。働く人たちを守り、神奈川県の経済を成長させていくための大切な議案を扱います。
まずは、「京都試作ネット」京都試作ネット|部品加工・開発試作|金属・樹脂・電気・機器・装置 (kyoto-shisaku.com) 、「クロスエフェクト」世界最速の開発支援企業クロスエフェクト (xeffect.com)
京都試作ネットは、50以上のものづくり企業がメンバーとして参加していて、「研究開発したものの試作品を作りたい!」などという自社だけではできないチャレンジを応援します。図面や設計も含めて、様々な分野のプロフェッショナルが一緒に試作品を作り、製品化の相談にのってくれます。最近だと、コロナ禍での様々な製品がうまれたとのこと!この企業のマインドが素敵なんです。共通言語は、ドラッガーマネジメント(顧客の創造など)!ものづくりの前に、街づくり人づくりを!
今、中小企業・小規模事業所の倒産増加や物価高や人手不足・事業継承の問題など、中小企業を取り巻く環境は深刻です。こちらは、若手に魅力ある企業でなければと意識も高く、実際に若手の方が多く働いていました。そして行政に求めるのは、伴走型支援とのこと。やりたい事、チャレンジに寄り添ってくれるような行政の姿勢であってほしいと話がありました。実際、神奈川県の中小企業支援を考えると、何というか一方通行であると感じることがあります。様々な計画をもとに、相談窓口の設置や融資や制度の準備などを行ってはいます。しかし、ニーズと合っていない、情報提供できていない等の理由で活用されていない事もあります。それらを振り返り、現場の声をしっかり聞いて、施策をブラッシュアップしていくことが必要ですよね。
京都試作ネットに、クロスエフェクトという企業があり、こちらがとてもワクワクする内容でした。医療と工学の連携(医工連携)がテーマで、3Dプリンターを使って、手術のシミュレーションに使う臓器を作ります。例えば、心臓を3Dモデルで作成し、それを使って医師は手術のシミュレーションができます。画像でなく、実モデルなのですが、精密度がものすごい!もう本物みたいなんです。しかも、検査は必要ですが、1週間あれば臓器モデルが作れるそうです。この技術があれば、例えば先天性小児疾患の手術で扱うとても小さな臓器の手術も、事前に手技の確認ができるし、手術時間も短縮できるし、手術の成功率あがるのではないかと思います。治験を経て、保険適応に向けて準備中とのことです。すごい時代がきた!と感激してしまいました。
次に、「株式会社大協製作所」http://www.daikyo-inc.co.jp/
従業員の半数が知的障害者という金属メッキを扱う企業で、障害者雇用について考えました。重度の知的障害者(療育手帳B1)の方も数人働いていました。仕事の内容は、塗装工程のラインで部品をハンガーに掛けたり、メッキ処理が終わった部品をハンガーから外したりする作業です。機械の改良や工程の見直しを進めていく中で、大部分の仕事は機械化され単純化することができた結果、知的障害者の特性に向いた職場となったとのことでした。工場内を見学させていただきましたが、皆さん笑顔で「こんにちは!」と挨拶してくれました。慣れた手つきで手際よく作業をしていました。もちろんお給料もしっかり出ていて、きっとやりがいをもって仕事をしているんだろうなぁと感じました。
条件が整えば、障害者の就労は労働力としても期待できると考えます。そして、本人の自立や社会参加のためには、仕事を持つことが重要です。得意なことと、苦手なことがわりとはっきりしている知的障害者の方への合理的配慮はこれからもっと進められる可能性があると思っています。難しいのは、精神障害者の方の就労でしょうか…病状に非常に波があったり、知的障害者の方に必要な配慮とは異なるので一緒には難しい等、様々な課題があります。
これから、障害者雇用促進法が改定され、障害者の法定雇用率がどんどん上がっていきます。短時間就労や福祉施設との併用など、柔軟な対応を企業側も求められそうです。また、就労アセスメントという新しい枠組みができますので、地域の障害者雇用に関わる福祉系の事業所も対応が必要になります。障害者雇用に関わっている方も言っていましたが、企業の責任というだけでなく、福祉事業所・福祉専門職の私たちももっと意識を変えるべきなんだと考えます。そもそも、企業で働いたことがない福祉専門職(私もそうですよ)が、就労支援って難しいことです。そして、障害者や福祉制度を知らない企業が障害者を雇う事に不安を感じるのは当然のことです。そんな分からないもの同士に支援される障害者の方は不幸だし、正しく評価してもらえるのか疑問ですよね。だからこそ、就労のためのアセスメントを正しく行うことができ、本人と福祉事業所と企業の間に入りコーディネートできる専門機関の充実が必要であり、その姿に近づくことができるかもしれない制度設計にはなっています。しっかり機能するように、県政の立場からチェックしてきます!
平野みぎわ政務活動事務所
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